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201406/23

グランドセイコークオーツムーブメント 続き



「震える秒針」
歯車は「遊び」がなければ回転できない。しかしその「遊び」が秒針の震えの原因になる。この震えをおさえる機構は従来からあったが、その効果にグランドセイコーの開発者たちは満足しなかった。そして「バックラッシュ・オートアジャスト機構」という新しい方式が開発された。秒針の的確で美しい動きを実現したこの機構には、機械式時計の心臓部を構成する「ひげぜんまい」が使われている。
「クオーツは調整できない?」
たしかにほとんどのクオーツムーブメントには調整する方法がないが、この9Fムーブメントには「緩急スイッチ」という機構が搭載されている。使い始めて数年を経て、年差レベルでの進み後れの傾向がはっきりしたときに、使うためのものだ。ただし、このムーブメントに使われる水晶振動子はテストやエージング(経年)を経た「エリート」ばかりなので、この「緩急スイッチ」の出番はあまりない。
「540回の検温」
クオーツの水晶振動子は温度変化に弱い。1秒間に32,768回という振動数が、温度によって上下してしまうのだ。これをそのままにしておいては年差の制度は確保できない。そのために9Fムーブメントは時計内部の温度を1日に540回、センサーで測り、水晶振動子の基準からずれた振動数を検知し、その誤差を補正している。
「35年目の勲章」
セイコークオーツアストロンに、アメリカに本部をもつIEEE(The Institute of ElectronicsEngineers,inc,)世界最大の電気・電子分野の専門家組織)から、電子、電子技術での歴史的偉業を称えるIEEEマイルストーン賞が贈られたのは2004年。新幹線、富士山山頂 レーダーなどに続いて日本の4件目の受賞だった。クオーツムーブメントで駆動される時計として世界で初めて(1969年)に発売されたクオーツウォッチであるセイコークオーツアストロンは、この9Fの技術的な始祖にあたる。この小さなムーブメントのなかで、脈々と受け継がれてきたのは、エレクトロニクスでの歴史でもあった。
「グランドセイコー」日本にはいい時計がある。
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