全国宝石協会のダイヤ鑑定報道について
山城時計店で販売しているエンゲージ用ダイアモンド(弊社では「ダイヤモンド」でなくGIAジャパンにならい「ダイアモンド」と表記します。)はそのほとんどに中央宝石研究所の鑑定書(グレーディングレポート)が付いております。
弊社とは依頼する鑑定機関が異なるため今回の全国宝石協会の報道には直接の影響を受けません。
また鑑定書内容をうのみにすることなく、ダイアモンドルース1個1個に関して弊社の米国宝石学会鑑定士(GIA G.G)による検品を行っております。
それ以前に弊社では数多くのダイアモンドから表記グレードより1ランク上との境目となるものを厳選(ファーストチョイス:上質なものを真っ先に選ぶ)して仕入れる努力をしております。
しかし宝石業界全体に不信感を招きかねない報道内容となっていますので、念のため全国宝石協会から発表された見解内容を載せておきます。
今回の報道では全国にいる宝石鑑定士がダイアモンド現物を見ずに鑑定書(グレーディングレポート)をうのみにしていて目が節穴であると言われているかのようで憤りを感じます。
立場を明らかにするために私のGIA G.G証明書も添付しておきます。
業界への不信感払しょくのためにも報道内容の徹底解明を求めます。
山城時計店代表取締役 山城 昇
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全国宝石学協会からのFAX内容です。
毎日新聞による報道に関する弊社の見解
平素は格別のお引き立てを賜り、心より厚く御礼申し上げます。
さて、平成22年5月15日、16日付の毎日新聞に弊社が会社ぐるみで「ダイヤ鑑定のかさ上げを行っていたとする報道がございました。
これは明らかに事実とは異なる報道でございます。しかし、お客様に多大なご迷惑とご心配をお掛けいたしておりますことは誠に申し訳なく心より深くお詫び申し上げます。また、弊社のダイヤモンド・グレーディング(鑑定)に報道されたような不正の事実はなく、適正なグレーディングが行われておりますことをここにご報告申し上げます。弊社といたしましては、今後、事実関係を明らかにした上で、問題の解決と信頼の回復に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。
日本国内におけるダイヤモンド・グレーディングは米国宝石学会(GIA)が採用する基準を参考に、いわゆる「4C」のグレーディングが行われております。このうちマスター・ストーンを参考にしたJJA/AGL認定マスターストーン制度が実施されております。
これは社団法人日本ジュエリー協会(JJA)と一般社団法人宝石鑑別団体協議会(AGL)が協議の上、認定したカラー・マスターストーンをAGL会員機関が所有し、適正に運用することによって会員間のカラーグレードにバラツキが生じないことを目的としております。
ダイヤモンドのグレーディングは高度な訓練を受けた技術者が行っておりますが、グレーディングの結果には常にボーダー(グレードの境界)付近が存在し、4Cのうちクラリティとカラーのボーダー付近の判定は数値化や定点化が困難なため、技術者の経験と主観に大きく依存しているのが現状です。そのため、弊社では技術者間の相違が生じないように定例的な目合わせを行っており、報道で取り上げられた「指示書」と称する文書はこれらの定例的な技術者会議の内容を備忘録的に記述したものです。
一方で、この技術者会議以前から、弊社のカラー・グレーディングの結果がAGL会員機関と比較して厳しすぎるのではないかとのご指摘を頂いており技術者間では懸案事項とされておりました。AGL会員機関とのグレード相違の背景には、弊社の技術者が伝統的にボーダー付近のグレードを低めに判定しがちであることが、AGLが毎年行うグレードチェックでも明らかとなったため、会議では主にその是正について検討が行われました。そこで米国GIAやAGL会員機関のカラーグレーディングの傾向を系統的に調査し、技術者間での目合わせや情報交換を密に行った結果、ボーダー付近のグレードの判定について、社内文書に記述された通りにわずかに修正する必要あることが会議で話し合われました。
従いまして、カラー・グレードの結果を一律的に半グレード〜1グレードランクアップさせたものではなく、ボーダー付近の見方について認定マスター・ストーンのより適正な運用に向けて、低めに判定しがちな弊社グレード技術者の修正範囲を技術者自らが示したものです。
この会議の目的は、認定マスター・ストーン制度の本来の主意であるAGL会員機関のグレードのバラツキを無くし、弊社技術者間で統一性のある一貫したグレードを行うためのものであり、新聞報道で指摘されたような自社利益の追求のために、「甘い」グレード結果を出すためのものでは決してございません。この度の新聞報道によって、お客様に多大なご迷惑をお掛けしております。
また、お騒がせいたしておりますことを重ねて深くお詫び申し上げます。弊社では事実と異なる今回の新聞報道に対しましては、毅然とした対応をさせて頂く所存でございますが、このような事態を厳粛に受け止め、引き続き信頼回復に努めてまいりますので、何とぞ弊社の取り組みにご理解を賜りますようお願い申し上げます。
平成22年5月17日
株式会社 全国宝石学協会
代表取締役 高橋 夏樹