太い針を回す「グランドセイコー」9Fクオーツムーブメント
クオーツを超えるために、このクオーツは生まれた。
「常識を捨てる。」
9Fムーブメントはグランドセイコーのためだけに開発されたクオーツムーブメント。
開発者たちがめざしたのは、単に高精度なムーブメントではなかった。腕時計の本質とはなんだろう。グランドセイコーはそれを愛用してくれる人々に何を提供すべきだろう。長い議論の果てに得られた結論は、極めて当たり前のことばかりだった。正確であること。時刻を読み取りやすいこと。一生つきあえる時計であること。しかし、この当たり前のことを徹底的につきつめた結果、9Fムーブメントは、「薄くて軽い」というそれまでのクオーツムーブメントの常識を捨てることになった。
「重量オーバー」
まずこの9Fムーブメントの開発で、技術者に突きつけられた難題は針だった。初代のグランドセイコーのような太くて堂々とした針を回したい。しかしその重量はそれまでのクオーツムーブメントが動かせる限界を超えていた。そして開発されたのが、エネルギーを節約しながら重い針を動かすことができる「ツインパルス制御モーター」。しかし難題はそれだけでは終わらなかった。
「瞬きより早く。」
夜も遅くなると、腕時計のカレンダーの窓の中の数字はずれはじめ、数時間をかけてゆっくり正しい日付になる。これではとっさのときに日付が分からない。日付を瞬間的に切り替えるカレンダーは、トルクの強い機械式時計ではいくつか例があるがクオーツ式の時計では前例がなかった。前例がなければ作ればいい。いくつかの機械が試作され、2000分の1秒で切り替わるカレンダーが、クオーツ式の時計に初めて搭載された。
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