結婚指輪の選び方 【上級編】
【基礎編】【中級編】で指輪の選び方について一通り触れたら、次はもう少し踏み込んだお話を。
【なぜダイヤモンドが主流?】
実は必ずしも婚約指輪にはダイヤモンド、といった決まりはないのです。近年日本でもサファイアやルビーの婚約指輪を贈ることも見かけるようなりましたが、世界規模で見ると珍しいものではありません。現にイギリス王室のキャサリン妃やオスカー女優のペネロペ・クルスの婚約指輪は深い青が美しいサファイア、ジェシカ・シンプソンもルビーの婚約指輪とセレブの間でもダイヤモンドでなくあえて色石を選ぶことも。そして日本でも、婚約指輪というものが根付いてすぐの1950年代は真珠を留めたものが一般的で、まだ洋装が主流でなかった時代を考えると頷けるものもありますね。
・いつからダイヤモンドが主流?
ダイヤモンドが婚約指輪としてポピュラーになったのはつい最近のこと。婚約指輪自体は紀元前のローマ時代から存在したのですが、ダイヤモンドが婚約指輪として使用され始めたのが15世紀、一般的になったのは19世紀に入ってから。
なぜダイヤモンドが婚約指輪に選ばれてきたのかに関して諸説ありますが、【基礎編⬅︎】で述べたように硬度も希少性も高いことから、どの色石と比べても婚約指輪に適していると考えられているのも一つ。そしてダイヤモンドが「純潔・永遠の絆・純粋無垢」と清廉な花嫁にふさわしい石言葉を持っていることも理由に挙げられますね。
・日本での歴史
日本での婚約指輪の歴史は20世紀中頃からととても浅いものですが、日本で普及したきっかけは「デビアス社」のプロモーション。「給料の三ヶ月分」や「ダイヤモンドは永遠の輝き」といったキャッチコピーは瞬く間に人々の心を捉え、私たちがダイヤモンドの価値や美しさを知るきっかけとなったのです。
【センターストーンの石留めデザイン】
ダイヤモンドでなくてもいい婚約指輪ですが、その輝きの比類なさや特別感から、やはりダイヤモンドの婚約指輪を願ってしまいます。【中級編】でメレの留め方について述べましたが、今回はセンターストーン(メインの石・中石とも呼ばれる)の留め方をご紹介。
・立て爪
画像:CAFE RING CERISE
もっとも一般的な留め方で、カラットの大きな石を輝かせる効率の良いセッティング方法でありながら、そのシンプルなフォルムは世代を問わず人気を集めています。爪の数は4本、5本などブランドやデザインによって様々ですが、ティファニー社が1886年にダイヤを美しく見せる留め方として開発された6本爪の「ティファニーセッティング」がベースとなっています。
・カテドラルセッティング
ダイヤモンドに高さを出すため、石座の両脇をアームがスロープ状になり支えています。安定感があり重ね付けに映えるということと、華奢なデザインでも存在感が出ることが特徴。
・ベゼルセッティング
画像:NIWAKA 八重霞
爪を作らないセッティングの一つで、石座の上部に余分な金属を持たせ、そこを叩いて石を留めるという方法です。ボリュームもありながら爪の引っ掛かりがないシンプルさが好まれています。
・伏せ込み
爪を作らず、石の周りの地金を叩いて留める方法。石座を作らないので高さが出ず、日常生活でも引っ掛けたりなどの心配をしなくて良いといったメリットもありますね。
・はさみ留め
画像:クリスチャンバウアー
アームの両端の金属部分で石を挟むセッティング方法です。宝石の縁を留めるため、バケットやクッションカットなど四角の石でよく見られます。シャープでエッジの効いた印象の留め方です。
代表的な石留めはこの5種類。ブランド独自の留め方があったりと奥深い石留めですが、見た目のデザインに加えてライフスタイルシーンを想定して選ぶのも良いですね。
次は、【基礎編】で簡単に触れた割金について。少しややこしい部分もありますが、知っておくと指輪の素材選びもスムーズになること間違いなしです。
【割金って?】
割金(ワリガネ)は、ベースとなる金属に加える別種の金属のことを指します。
【基礎編】でも述べた通り、割金を加えることで金やプラチナに「耐久性」が備わるのです。
では最初は耐久性が低いのか?というとその通り。ブライダルジュエリーで使用されるゴールドやプラチナは、混ぜ物のない純粋な状態だと「柔らかい」ため、異なる金属を加えることでその弱点を補強してあげるのです。
つまり、傷の付きにくさや変形のしやすさを必要とするブライダルジュエリーにとって、割金はとても重要なこと。石を留めるのであればなおさら、爪も金属で作るものなので、金属が柔らかいと布などに引っ掛けて石外れが起きやすいなどの原因となります。
割金が大事ということがわかれば、次に知りたいのが割金の正体。ベースとなる金属によって割金の種類は異なるのです。
・ゴールドの割金
まず最初に知っておいて欲しいのが、金は24分率で表されるということ。
100%の内75%が純金で後の25%が他の金属であれば、18金(K18または18Kとも呼ばれる)といったブライダルジュエリーではポピュラーな金合金となるのです。
同じ18金でも色味が微妙に変わるのは、この合金の種類が正体。合金は強度を加えるだけでなく、もう一つの役割として「色味」を変える役割も持っています。主に金の合金として使われるのが銀と銅であり、この銀と銅の配分によって色が変化するのです。銀が多くなると白っぽく、反対に銅が多くなると赤みを増して見えます。
・ピンクゴールド
ピンクゴールドは銅に「パラジウム」という別種の金属を加えて赤みを抑えるのですが、ブランドによってその割合や割金に使用する金属が異なるため色味に多様性が生まれるのです。
ピンクゴールドは可愛らしくて苦手!という方も、別のブランドのピンクゴールドだと馴染みが良く感じることも。はめてみることで手にあう色味かそうでないかが感じられるので、色味を選ぶときには参考にしてくださいね。
・ホワイトゴールド
そしてホワイトゴールドですが、割金はパラジウムを使用します。ホワイトといってもゴールドの割合が多い18金になると、銀のような白さではないのが特徴。なのでほとんどのホワイトゴールドがロジウムメッキといった白いメッキを表面にかけているのです。メッキで色味を白くするだけでなく、表面に傷をつきにくくする効果もあります。
●プラチナの割金
世界中でも日本が一番プラチナを消費すると言われています。そのくらい需要が高く、特にブライダルにはプラチナ!という方も少なくはありません。ですが産出量も限られており、希少性が高い金属でもあります。
プラチナは少し黒みを帯びた色味で、これがダイヤモンドを留めるときに石をとても綺麗に見せてくれます。割金はパラジウムなどを使用しますが、金と異なるのは1000分率ということ。90%がプラチナで10%が合金ならばPt900と表されるということです。
・ホワイトゴールドとプラチナと、どちらが良い?
簡単な色味の違いで選ぶのであれば、ゴールドとプラチナのそれぞれの色味を判断基準にすればいいのですが、色味が白いホワイトゴールドと選ぶとなると迷ってしまいますよね。
まずそれぞれの色味についてですが、プラチナは渋みのある銀色で使い続けても変色せず、ホワイトゴールドはメッキをかけ白く輝くのが特徴。メッキが剥がれてきても仕上げ直しを行なってくれるブランドも多いので、あらかじめチェックしておきましょう。
リング全体の耐久性はホワイトゴールドの方が高いのですが、石を留める場合だと「粘性」が高いプラチナの爪は強く、細やかな装飾も施しやすいためコストが高くても選ばれる方も多いのです。デザインや着けた時の肌写りも考えて選ぶのも良いですね。
最後に、指輪を選ぶ上で大切なことは、どのブランド・デザインの指輪を選ぶとしてもアフターケアを大事にしているかを見極めること。
もちろん引越しや様々なタイミングで別のお店に修理を依頼することもあるかもしれません。ですが、婚約・結婚指輪は手に入れた瞬間だけでなく、この先何十年も付き合って行くもの。メンテナンスはもちろん、いつまでも寄り添ってくれるお店を選びたいものですね。
全て正規代理店商品を扱う当店は、お買い上げのその日からずっとあなたのパートナーとして、信頼関係を築き上げていくことを目指しております。お困りの際はもちろん、何気ない時にでも指輪のメンテナンスの相談ができるような、安心できる店であるよう努めて参ります。