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201206/27

7月1日はうるう秒調整で1秒長い日

7月1日の8時59分59秒と9時0分0秒の間に8時59分60秒を挿入することで対応を行なうそうです。
その時間に、覚えていた方は時報をお聞きになってみて下さい。
数秒の違いなんざぁ気にもしないという方には機械式時計をおススメします。(笑)


古来より人類は地球の回転(自転/公転)に基づく「天文時」という時系を使ってきた。つまり、地球が1回転するのを24時間と定めた。しかし、科学技術の発達により、地球の自転速度は安定しておらず、天文時は1,000分の1秒単位で利用するには精度が低いことが分かってきた。そこで、誤差が数十万年に1秒という非常に精度の高い時刻を刻むことができる原子時計による「原子時」が1958年に協定世界時(UTC)として導入されることになった。
ちなみに、現在のUTCは世界中にある約400台の原子時計を平均して決定されている。これはリアルタイムで動作しているわけではなく、決定までに1カ月かかる。そこで、各国ではUTCに同期した上で、独自に標準時を決定し、配信している。日本ではNICT(情報通信研究機構)がその役割を担っており、世界で2番目に多い18台の原子時計システムを所有している。
地球の自転速度がなぜ変化しているのか。NICT電磁波計測研究所 時空標準研究室室長の花土ゆう子氏によると、まだ厳密なモデル化はできていないが、地球を取り巻く大気の運動、マントル、月の潮汐力などが主な原因という。これによって、地球の自転速度は非常にわずかではあるが徐々に遅くなっている。具体的には、1,000年前は今より0.01〜0.015秒、2,000年前は0.02〜0.03秒、5,000年前は0.05秒〜0.075秒ほど1日が短かった(自転が速かった)という。
前述の通り、UTCは1958年に天文時から原子時に移行したが、人間が生活する上では午後0時に太陽が真上に来るよう原子時を天文時に合わせた方が好都合である。そこで、1958年以降も自転速度の変化に伴う天文時と原子時のずれを調整するため、UTCは調整されてきたのだが、1972年からうるう秒調整が導入された。
うるう秒調整とは、「世界時」(UT1、クエーサーからの電磁波を2つの超基線電波干渉計で観測することで地球の回転を観測して求める)とUTCの差を±0.9秒以内に保ち、それ以上ずれた場合は、1秒刻みでの調整を行なうことを言う。今回のうるう秒調整は3年半ぶりで、つまりこの3年半で天文時が1秒短くなったことを意味する。
うるう秒は国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)が、ITU-R TF460-6(標準周波数・時刻電波)として定義している。他方、国際度量衡局(BIPM)は、国際原子時(TAI)とUTCを計算。さらに、国際地球回転・基準系事業(IERS)が、UT1とUTCの差を予測し、うるう秒調整の時期を決定、各国当局に報告する。これを受け、日本では総務省がうるう秒調整の周知を行ない、NICTが実際に調整と配信を行なう。前述の通り、自転速度の変化に関して、精密なモデル化はまだできていないため、うるう秒調整の報告は、実施の半年前に行なわれる。今回の場合は、2012年1月に報告が行なわれ、総務省は1月31日にその旨の通達を出した。なお、うるう秒の調整を行なうかの決定は各国に委ねられているが、現時点で調整を行なっていない国はない。
うるう秒の調整方法にはいくつか種類があるが、日本標準時では7月1日の8時59分59秒と9時0分0秒の間に8時59分60秒を挿入することで対応を行なう。一方、NTTの電話時報サービス(117)では、7月1日8時58分20秒から、1秒間を0.01秒引き延ばし、100秒間かけて1秒の調整を行なうので、時報を聞いていても8時59分60秒の知らせを聞くことはない。電波時計では、多くの場合うるう秒調整は行なわれず、時刻調整は1日に1回となるため、9時以降に調整を行なうまでは1秒ずれた状態が続く。NTPについては、プロトコルにうるう秒対策が盛り込まれているので、ユーザー側での対応は必要ない。ちなみに、2010年6月に改訂されたRFCでは、うるう秒のためのLIビットを当月中(この場合6月1日〜30日)立てることに変更されたが、NICTでは古いRFCに準拠するソフトを考慮し、6月30日の1日だけLIビットを立てる。

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